アニメ『アイマス』21話 羽ばたけ!(中編)

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21話の後半は、珍しく社長と小鳥さんがメインでお話を紡ぎ、765プロを描いていた。


 前編は→コチラ





○社長と善澤さん


・千早の過去と今


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 報道に対しては報道で。765プロに対する思い入れと記者としての正義感が善澤さんを動かす。
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やっぱり前回のラストで話し合ってたのはこの件だったのかな。 それにしても凄い勢いで特集組まれてるね。まさに国民的アイドルだ。もちろん千早自身の人気もあるんだろうけど、前回のゴシップ記事の勢いに引っ張られてるという一面もあるんじゃないだろうか。ここでも黒井社長のせこい陰謀が逆効果になってる。
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 辛い思い出を改めて言葉にして整理し直すのは確かに酷な作業だ。仲間の力を得てそれを乗り越えた千早だから立ち向かえた。
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小鳥さんもまた過去に何かしら抱える人。自分の過去に面と向き合える千早を偉いと感じただろう。愛しく思っただろう。

 仲間もそう、Pもそう、社長や小鳥さんもそう、こうやって思いやってくれる人に囲まれているのが千早の「今」だ。


・社長の仕事とは


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 アイドルの管理はもちろん、現場でのトラブル解決もプロデューサー2人のお仕事。じゃあ社長がどこにいるかというと、今回は客席にいた。それもやたらとフォーマルな格好で。
 お客がアイドルをどう見ているか、アイドルが客席からどう見えるか、を確かめてるのかな。思わず前方へ移動してしまうのは親心の表れか。
 765プロのアイドル達を愛してやまないこの顔の出ないおっちゃんが、これまた愛しくて適わない。


・「若いというのはよいことだ」


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 千早の復活を喜び、黒井社長と久々に会って、彼なりに思い出すこと、彼女達に見せたいもの、伝えたいことがあったんだろうか、社長は皆を高級バーに招待する。車で移動している最中に決めてる所を見ると、ここで思いついたんだろう。主眼はきっと「小鳥さんの歌を聞かせる」こと。
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 黒井社長までもがそこにいたのは高木社長の計算か、それでも偶然か。




○高木VS黒井


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・アイドルを背負う高木社長、アイドルを背負わない、背負えない黒井社長


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 明確な対比。高木社長にとって765プロのアイドル達は信頼すべき仲間だったけど、黒井社長にとってジュピターは「駒」に過ぎなかった。その駒さえ失ってしまった黒井社長はただ一人の裸の王様だ。
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アイドルを信頼する高木社長とも、ステージで仲間と支え合いながら輝く千早とも対比される惨めな王。「寂しい」という感情とは無縁な人だろうけど、心の底では孤独を感じてるんじゃないかな。
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 手駒扱いしたジュピターからも、ライバルの高木社長からも、戦場であるライブ会場からも逃げ出して、寂しそうな背中を見せながら飲んだくれるあたりにその孤独感が表れてる。敵方に挟まれても、いつもの嫌味に毒気が足りない。
「私を笑いにきたのか?」 「そうだと言えば君の気が晴れるのだろう?」
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「私はお前に負けたつもりは無いからな!」
 「お前に」というのがポイントかな。黒井社長は765プロのアイドル達とP2人に負けた。
 黒井社長流の負け惜しみだけれど、実際の所は事実だろうね。アイドル達は絶好調とはいえ、765プロの事務所自体は小さいまま。律子の言うとおり、まだまだ冒険はできない段階。対する961プロはあの事務所の大きさだし、所属しているのがジュピターの3人だけということはないだろう。「必要なのは頂点のみ」というプロダクションの方針もあって、表立って活動するアイドルは少ないかもしれないけど、きっと大勢の候補生を抱えているはずだ。
 実際にはまだまだ765プロは961プロに勝っていない。それでも黒井社長が敗北感を感じているのは、千早の歌を聞いてしまったから、765プロの危機対応能力・団結力を目の当たりにしてしまったから、そしてなんだかんだでジュピターを失ったのが痛手だったからだろう。彼なりにショックを感じている。


・「アイドルを信じているだけさ」


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 これが全てなのかもね。ゲームでもアニメでも、この人の最大の仕事は「信じること」だ。その方針がPや律子にも受け継がれている。黒井社長はこのやり方を否定したいのかもしれないけれど、ずっとアイマスに付き合ってきた我々なら言える。


社長、それでこそアイマスです。




・社長の過去


 かつての同僚と肩を並べたからか、小鳥さんの歌を聞いたからか、それとも酒の勢いか、高木社長の昔話に乗ってくる黒井社長。
「変わらんな君は」
     「貴様には言われたくない」
「そうだったな、変わったのは私の方だったな……」

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謎の発言だよね。かつては高木社長も黒井社長のような方針を取っていたのだろうか。
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かつて轡を並べていた二人、もしかして、袂を分かち去って行ったのは高木社長の方だったのかもしれない。この二人、そして善澤さんの過去に何があったのか興味深い描き方をされていて面白い。多分描かれはしないだろうけど。
 最後の社長二人のやり取りに因縁のにおいを感じる。黒井社長もまた小鳥さんの過去に何らかの関係があるのか。
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 黒井社長は、「お金をもうける」のが目的の人じゃない、いつも「トップに価値がある」と言ってるけど、それよりもむしろ「自分の手法の正しさを証明する」に重きを置いている気がする。たぶん黒井社長は高木社長の方針に一定以上の効果があることは分かってるんだ、でもそれを認められないのもまた大人の愚かさってやつなんだよねえ。


 「根は悪い奴ではない」というか、善い悪い以前に歪んでるよね、黒井社長。
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「トップに立つためなら卑怯な手でも使う」「アイドルを駒としてしか考えていない」が彼の方針。単純明快すぎるが故に、利害関係にある人物以外の他人から容易に理解され得るものではないだろう。唯一意を同じくしてくれた高木と袂を分かってしまい寂しいのかなあ。




○小鳥さんの過去と今


・まさかの歌姫


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 事務職の片手間に時折「政財界の大物が集う高級バー」で歌を披露するレベルの歌い手でもあったんだ。これはアニメ独自の設定だ。
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いつも765プロのアイドルを慈しんでいるのとはまた違った表情で楽しげに歌う小鳥さん。
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彼女はアイドルじゃない、それでもこうやって楽しそうに、きれいな声で、皆の前で歌って、その心に大きなものを残した。まるでアイドルのようだった。そんな姿を見て、千早が思ったのは「アイドルって何だろう」だった。
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 小鳥さんはあくまでも事務員で、アイドル達をサポートするのがお仕事。そんな小鳥さんが歌って楽しそうにしているのを見られたのも良かったし、その歌でアイドル達に何かを残すことができた姿を見られたのも良かった。


・「歌う楽しさは人それぞれ」


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 羅刹は「俺たちは利用されるために歌ってるんじゃない」と言った。千早は「歌で幸せを届けたい」と言った。小鳥さんは「時々こうして歌えればそれで幸せ」と言った。社長や小鳥さんが言うとおり、人それぞれの歌、それぞれの幸せ、それぞれのアイドルへの道がある。


・「限りない明日へ向けて」


 数は少ないけれど、聴衆はみんな聴き入ってくれている。幸せそうなステージだ。
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 普通、こういう場じゃシャンソンとか過去の有名曲のジャズアレンジなんかを歌うよね。でも小鳥さんがここで歌ったのは『花』だった。

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ひとつ生まれた種 弱く小さいけれど
深く根を歩ませ 強く今を生きてる

やがて土を押し上げて 眩しく映るあの広い空
それは俯かないで 上を見るから

いつか咲こう きっと 諦めないで
葉を広げて うんと 茎を伸ばして
高くたって 行ける まっすぐに芽を限りない明日へ向けてゆこう

風に揺れる蕾 守る姿に似てる
いくつ傷ついても ぎゅっと抱きしめていた

晴れたら日差し浴びて 雨が降ったら恵みに変えて
ひとつずつを巡って 開くひとひら

花になろう もっと 誇れるように
その花びら ちゃんと 萼(がく)で支えて
どこにだって なれる 実を結んだら
光り輝く春を
自分になろう もっと 誇れるように
その心を ちゃんと 胸で支えて
何にだって なれる 実を結んだら
光り新しい春を迎えよう

種は 芽生えてゆく 蕾になる いつの日か花になる
枯れる時には どうか泣かないで 空へ種を舞わせよう

いつか咲こう きっと 諦めないで
葉を広げて うんと 茎を伸ばして
高くたって 行ける まっすぐに芽を
限りある今日へ向けて
夢は叶う きっと 諦めないで
手を広げて うんと 足を伸ばして
遠くたって 行ける まっすぐに目を
限りない明日へ向けて行こう

愛しい少女達に託す歌、自分の想いを次代へと繋げる歌。小鳥さんはこの子達がお店にやってくるのを知ってたんじゃないかな。
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 生まれ、育ち、花を咲かせ、枯れ、種を残す、当たり前に行われるサイクルをシンプルに表現する、765プロのアイドル達全員の今日と明日を謳った曲だ。大地に根を張り自分を支えよう、今はまだ小さい芽でもまっすぐ茎を伸ばそう、いつか空へ向けて花を咲かせよう、きっと枯れても次代へ向けて種子が残るから。と、いつか訪れる終わりまでもを優しさで包み込む歌。アイドル達はもちろん、律子やPにも歌えない、小鳥さんだけが歌える歌だ。小鳥さんが彼女達に向けて言いたいことが全部込められている。765プロのアイドル達に対する無限の愛に満ちたこの曲を聴いていると自然と涙がこぼれてくる。この歌が収録された『M@STER LIVE』でもそうだったけど、やっぱりこの歌がアイドル達に届けられたのを見られたのが良かったな。


・……誰?


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 似てるけど、若き日の小鳥さん……じゃないよね。ホクロの位置が違うし。結局、二人の社長と善澤さんと小鳥さんの関係と過去の出来事については大部分が謎のままってことだね。それでいい気がする。過去の自分よりも今の自分の方がすきなのが小鳥さんで、アイドル達の過去よりもアイドル達の未来を愛するのが小鳥さんだ。


・見守る目線


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 アイドル達の背中を見守る、彼女達が未来へと歩いていくのを見守る目線。
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その目線を送るとき、我々もまたこういう表情をしているんじゃないかな。
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二人のプロデューサーと同じように、小鳥さんもまた「こっち側」の人だ。


・「意味や答えというのは後からついてくるもの 大事なのはたった一つその心」


 エンディング曲はこれまた小鳥さんの名曲『空』。

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「春は春を、夏は夏を、秋は秋を、冬は冬を、『今そこにあるがまま』を楽しもう」「辛いことがあったって前を向いていればいつか素敵な未来が見える」「自分を信じて」と、明るい希望を歌った曲。「繋ぐレインボー」とアイドル皆を謳っている通り、この歌もやっぱり彼女達にささげる曲になっている気がする。
 小鳥さんは「空になりたい」と歌う。太陽を、月を、星を包み込む空に。それが音無小鳥さんなんだね。それが確認できてよかった。


・「じゃあ、また」


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 エンディング、最後のカット2つは明確にカメラ目線だ。
誰を見ているのかというと、これ我々を見てるんだね。我々にピースサインを送りながら事務所の中(=アイマスの世界)へ入っていく。小鳥さんはアイドル達の近くにありながら「こちら側」の人でもある。「あちら」と「こちら」の境界線に立つ。これまでも、これからもそういう立場なんだよ、ということをさりげなく示している。
 作中でも季節は冬になって、事務所の中も凄く寒そうだ。そんな中で、小鳥さんの体温を少しだけ感じられそうな、そんな21話だった。




○アイドルってなんだろう?


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 アイドルじゃないのにアイドルのようだった小鳥さん、そんな姿を見て千早が思ったのが「アイドルって、何かしら?」だった。「アイドルに興味ありません」と言っていた千早が、そして「アイドル」を憧れとした春香と美希が21話にして戻ってきた問いだ。
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 1話で千早は「歌うこと、それだけです」と言った。美希は「のんびりトップまで行ければいいよね~」と言った。春香は「憧れだから!」と言った。春香は11話でも千早に向かって同じことを言っている。
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今はどうだろう。
 美希のは「キラキラ光って、皆をドキドキさせる人」と言った。12話で出した答えに「伝えること」が加味された。
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 千早は「歌で誰かに幸せを届ける人」と言った。今日のステージで得た、復活した自分の姿をファンに届け、感謝の気持ちを仲間に届ける、という答えだ。
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 春香もまた、「届ける」ことを中心に据えるアイドルだ。
小鳥さんの言う通り、皆それぞれのアイドル観がある、この3人にとっての「アイドル」とは「届ける」こと。

 でも、美希には「キラキラする」という手段があり、千早には「歌」という明確な手段がある。春香はどうだろう。春香だけは「何」によって届けるのかを明らかにできなかった。春香は既に「届ける」アイドル。でも、そのアイドル像に明確な形が無い。人間、ギリギリの土壇場でその「形」が支えるんだけど、春香は大丈夫だろうか。




 彼女達を包み込む優しさ、それぞれが歩む別々の道、そして春香が抱える一抹の不安要素が示された21話でした。願わくば、それぞれの道を歩む彼女達全員の先に笑顔が待っていて欲しいものです。



後編は→コチラ



 それでは、佳いアイマスライフを。

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